SG SNOWBOARDS
商品ラインナップ イベント情報 SGインフォメーション STYLE SGライダーの紹介 ユーザーレビュー 商品保証について 取扱店


平昌オリンピックまで半年余り
鈴木湧也には強化指定選手として、僅かではあるがオリンピック出場の可能性がある
アスリートとしてチャンスがある限り、そこを目指すことは当然の使命であり必然だ
そんな湧也の軌跡を追いかける連載企画「鈴木湧也の現在地 〜夏編〜」をお届けします
より多くの皆さんに応援いただき湧也をオリンピックへ向かって引き上げていただければと思います

words by molly + Yuya Suzuki
photos by molly



午後10時過ぎ、「ちょっとランニングしてきます」と言い残し、湧也は部屋を出て行った。
デンマーク コペンハーゲンの7月は夜10時を過ぎてようやく日が傾き始めていた。2日前までいたイタリアも夏は日が長いのだがそれよりも一時間程長い。でも頬に当たる風はひんやりとしていて、気温は20℃にも満たない。
この日はドイツミュンヘンから1000km余りを車で移動し、明日はノルウェーまで1000km近くを移動する予定だ。タフな移動の中でコンディショニングを行う一環として、湧也はランニングに出かけていった。ヨーロッパが主戦場のアルペンレースシーンにおいて日本からの参戦は移動を多く伴い、常に「アウェイな戦い」を強いられることも多い。そんな中で体調管理やコンディションを整えておくことを日常的に習慣化しておくことはアスリートとして必要不可欠なことだ。

イタリアでの雪上トレーニングではフィジカル面での課題も見えてきていた。湧也本人が先シーズンを終えてふり返った時に、さらなるステップアップの為にはパワーアップと体重増の必要性を感じていた。この前提に基づき、春以降パワー系のトレーニングを中心に行ってきたのだが、一般的には負荷の低い有酸素運動から始め、徐々に負荷の高いトレーニングを増やしていく。しかし平昌オリンピックを間近に控え、厳しい状況ながら最後まで可能性にかける気持ちの中で、より本人が欲するトレーニング内容で、成果の実感に近づけたい気持ちになりがちなのはよくあることだ。コーチとしては急がば回れで、有酸素運動をしっかり取り入れて基礎体力を備えた上でパワー系のトレーニングに進んで欲しいと思う面もあるのだが、そこに正解はないし個人差もある。何より本人が納得して取り組まなければモノにもならない。
実際イタリアでのトレーニングではパワー系トレーニングの成果を感じられる一方で、持久力という観点ではやはり物足りない面も浮き彫りになった。このようにフィジカル面のトレーニング経過と、その効果が雪上でどのように現れるのかを確かめる上でもこの時期に雪上に上がることは重要な年間スケジュールの一つと言えるだろう。
この時期のトレーニングは「確かめる」ということが大きな目的となる。確かめることでこれまでの経過を検証し、残りのオフシーズントレーニングを必要に応じて修正することで成果に繋げていきたい。

「確かめる」という点ではこの時期に重要なのが用具のテストだ。最新のもの、ハイエンドモデルが最適、最速とは限らない。ボード、プレート、バインディング、ブーツそれらを各ライダーがベストパフォーマンスを発揮することができる用具なのか、そのためにはどのようなセッティングが良いのか「確かめておく」必要があるのだ。今回はスロベニアにあるプレートメーカーを訪ねて、テスト用のプレートを6枚借りて雪上に持ち込んだ。氷河とはいえ、締まったいい雪の状態で滑ることができるのは一日せいぜい2時間程度だ。その中でプレートを変えながら滑り、その映像を確認し、ボードの動きやフィジカル面のパフォーマンスを確認していく。時間が限られた中で一日でできることはそれほど多くはなく、地道にこのような日々を繰り返していくのだ。
どのように滑り、それを具現化するためにはどのような道具がマッチするのか、その動きを引き出すフィットネスは機能するのか。これらを「確かめ」、課題を抽出し、改善策と今後の計画を練ることで秋から始まる本格的な実践トレーニングに入っていくことができる。

イタリアは先シーズン降雪量が少なく、トレーニング地のステルビオ氷河も例年より雪は少なめな印象だった。地球温暖化を妄言のように言う人もいるが、ヨーロッパアルプスの氷河はここ25年程で急速に融解、後退しており、あと何年夏にアルプスで滑ることができるのだろうか、と真剣に考えなければならないくらいのところまで来ていると思う。小さなことしかできないが、引き続き皆さんと力を合わせて地球温暖化を防ぐ努力を続けていきたいと思う。
そのような背景からトレーニング環境の選択肢を広げておく目的もあり、ゲレンデ視察とトレーニングの為にノルウェーへ向かった。今回訪れたガルへピッゲン氷河はヨーロッパアルプスの氷河とは眺めが少し違っていた。ノルウェー最高峰のガルヘピッゲン山は標高2500mに満たず、周囲の山もおおらかな稜線が多く、ニュージーランドのカドローナスキー場から周りの景色を眺めているような雰囲気だ。標高は高くないがイタリアから2000km以上北に位置していることで気温は低い。北に位置しているということは、夏は日が長い。日没は午後11時を過ぎてからで、朝の3時過ぎにはもう明るくなっている。イタリアの氷河では晴れると紫外線が痛いくらいに降り注ぎ、何度も日焼け止めを塗らなければならないが、ノルウェーではイタリア程肌がジリジリしない。
結果として雪の状態はイタリアよりも良かった。イタリアのテストである程度絞り込んでいたプレートを集中的に乗り込み、最終的にどのようなセッティングを選択するのか決めていくことができた。合わせて、ライディングのフィーリングも徐々に上がってきたが、今回の遠征はここまで。しかし、当初の目的は達成できた遠征内容だったと思う。まだまだ取り組むべき内容や精度を高めるのは秋からのトレーニングということになるので、その辺りは次回の記事で報告したいと思います。

ノルウェーでのトレーニングを終えた3日後、僕たちはオーストリア ザルツブルクのホテルにいた。「ちょっとランニングに行ってきます」と言い残し、湧也は部屋を出て行った。
明日、日本に戻る。

ー 鈴木湧也の証言

ヨーロッパに27日間の遠征に行って来ました。
今回の遠征の目的は、「道具のテスト」「陸上トレーニングと滑りのすり合わせ」「滑りの基礎的なトレーニング」の3つです。
ミュンヘンに到着後、ザルツブルグで森コーチと合流、そしてスロベニアまでテストする道具を取りに行きました。
テストをするのはボード2本とプレート6枚。
ボードとプレートのマッチングや雪質の違う環境での感触の違い、さらにゲートの中での適応力がどのくらいあるかなど、様々な側面から考えてテストを行いました。
来期のボードは少ししなやかになっているように感じ、正直どのプレートとの相性も結構良かったと思います。どのプレートを付けても乗りにくいと感じることはありませんでした。
その中でも自分の滑りや体重に合わせてベストなものを選びました。
3週間通して様々な雪質の中で滑ることができとてもいいテストができました。
滑りに面でも陸上トレーニングの成果をしっかり感じ、体力面でもたくさんの課題が見つけることができました。
今回の遠征に向けて、4月から6月のトレーニングでは、体幹の強化と股関節の柔軟性をテーマに取り組んで来ました。これは自分が目標とする滑りを実現するためです。
自分はいくらパワーやスピードがあっても、柔軟性や安定感がなければ求めるライディングはできないと思っています。
そのためこの春には4年前からトレーニングに取り入れているピラティスを多めに取り入れました
いつもお世話になっている大阪の「DTS Pilates」の小田島トレーナーと相談しながらトレーニングを続けて来て、今回の遠征も同行していただきました。
滑りの面ではその成果を感じ、今まで以上に安定した滑りができるようになって来たと感じています。ですが、新しいプレートを使うためには今以上に基礎体力を上げなければいけないことも感じました。
新しいプレートはどんどん、硬く重くなっていっています。
樹脂製のものから金属製のものに変わり、面積も増え、安定感やボードの走りは圧倒的に上がりましたが、その分試合で使いこなすには結構な体力が必要です。
1本で消費する体力は今までの比じゃないと思います。それを解決するために今足りないのは、体重と持久力だと自分は考えました。これからの陸上トレーニングで必要とされるものを体感することができ、それを基にトレーニング計画を立てて改善していきたいと思います。
次回予定している8月末の遠征でどのくらい成果が出ているのか楽しみです。

今回の遠征の総移動距離は約9000km。
ドイツからオーストリア、スロベニア、イタリア、スイス、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーと、3週間で8つの国へ行きました。
もちろん道具を調達するためや別の練習場所に移動するためなど、全てスノーボードのための移動でしたが、その中でも様々な人や文化に触れ、その違いを感じることができました。
スノーボードの遠征をしているとどうしても同じところばかりに行くことになってしまいます。
もちろんしょうがないことですが、ヨーロッパまで行って、ホテルとスキー場を往復するだけの生活では勿体無いと思っています。
それにいつも行っているところだけではなく、その国のルールや考え方を知り、アウェイ感をなくすことは競技力を向上させるために絶対に必要なことだと思っています。
特に今回のイタリアからノルウェーへの旅はとてもいい経験になりました。
ヨーロッパでは国をまたぐごとに交通ルールや物価、通貨が変わります。
また土地の影響で発電方法や人々の生活スタイルが違い、それを肌で感じることができました。
アウェイ感は不安な気持ちから生まれます。
ここにいて大丈夫だろうか、このやり方であってるんだろうかなど、、、
それをなくすためのとてもいい旅になりました。

今回の遠征では目的としていたテストや練習ができ、さらに長距離移動の中でたくさんのいい経験をすることができました。
とても充実した遠征になったと思います。
見つけた課題に忠実に次の遠征までしっかりトレーニングしていこうと思います。

午前中は雪上、午後はフィジカルトレーニング
@ボルミオ、イタリア

今回の遠征では用具テストを繰り返し、シーズン中に使う用具を決める
@ステルビオ氷河、イタリア

イタリアでのトレーニングでいつもお世話になっている現地の人たちと
@ボルミオ、イタリア

今回ヨーロッパ内で運転した距離は9000km。
国境の税関では別室に連れて行かれたことも
@エーレ海峡、デンマーク

ガルへピッゲン氷河に通じる道は有料道路。料金を支払うと写真のゲートが自動で上がる
@ガルへピッゲン、ノルウェー

移動日もコンディショニングを欠かさないためにランニングを行うこともある
@リレハンメル、ノルウェー



◆ TEAM YUYA後援会からのお願い ◆

Tシャツ&パーカーを着て、鈴木湧也選手を応援しよう!
ご購入代金から製作費を除いた金額を平昌オリンピックを目指す鈴木湧也選手の強化活動費として活用させていただきます。
活動内容は、弊社サイトやTeam YUYA後援会Facebookページなどを通じてご報告させていただきます。
みなさまのご支援よろしくお願いいたします。

商品ページは弊社サイト下記URLをご参照ください。
http://www.sgjapan.jp/products/team_yuya.html



copyright